先日、7月17日(月)に実施された、技術士2次[建設部門]における標記の出題内容と、解決ロジックに入れるべき内容について、以下に概説いたします。
出題されたテーマについては、当サイトでご紹介している「維持管理」「防災減災」の2テーマともに出題されました。また、いずれのテーマも最新の施策等を押さえた解答が記述できているか?が題意となっています。つまり、一般論の論述では「A」にはならないということです。
以下、青字がⅠー2の問題文です。
我が国の社会資本は多くが高度経済成長期以降に整備され、今後建設から50年以上経過する施設の割合は加速度的に増加する。このような状況を踏まえ、2013(平成25)年に「社会資本の維持管理・更新に関する当面講ずべき措置」が国土交通省から示され、同年が「社会資本メンテナンス元年」と位置付けられた。これ以降これまでの10年間に安心・安全のための社会資本の適正な管理に関する様々な取組が行われ、施設の現況把握や予防保全の重要性が明らかになるなどの成果が得られている。しかし、現状は直ちに措置が必要な施設や事後保全段階の施設が多数存在するものの、人員や予算の不足をはじめとした様々な背景から修繕に着手できていないものもあるなど、予防保全の観点も踏まえた社会資本の管理は未だ道半ばの状態である。
(1)これからの社会資本を支える施設のメンテナンスを、上記のようなこれまで10年の取組を踏まえて「第2フェーズ」として位置づけ取組・推進するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えも示せ。
(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要点・留意点を述べよ。
以下、赤字で所見を記載します。
問題文は長いですが、ここで問われている条件は、上記下線部の『施設のメンテナンスを、これまで10年間の取組を踏まえて、次の「第2フェーズ」として位置づけ取組・推進することに当たり』が論述上の条件になります。
つまり、従来の一般論の論述ではなく、「第2フェーズ」に特化した内容の記述が要求されています。この第2フェースにおける取組策は、2022年12月に国交省より「地域インフラ群再生戦略マネジメント」という提言がでており、その中身を踏まえた論述が求められています。
よって、解決策では、
「地域インフラ群再生戦略マネジメントの推進」→行政区域に拘らず、広域・複数の施設を『群』として管理していく
「市区町村(特に小規模)の体制構築」→包括的民間委託やCM方式の活用
などを小問(2)の解決策で論述する必要があるものと推察しています。
この辺の最新施策に基づいた、解決ロジック教材の提供先として、日経コンストラクションの技術士実践塾をご紹介しておきます。
私自身も、講師として添削指導を担当させていただいておりますが、例年、必須科目の教材は充実していると思います。
今年のⅠー2の内容も的中しているので、受講生の多くは、よく書けたという感想をいただいています。
2023年度の講座は閉講していますが、2024年度の受験をお考えの方は、試験対策の手段を検討する際の候補に入れられてみてはどうでしょうか。